巨大地震 進まぬ対策

うみの イルカ

2011年01月15日 00:51

http://sankei.jp.msn.com/affairs/disaster/110114/dst1101142126007-n1.htm
府県を越えた全国初の広域地方公共団体「関西広域連合」発足直後の昨年12月2日、兵庫県庁(神戸市中央区)で一つの協議会が立ち上がった。

 11月末、島根で高病原性鳥インフルエンザに感染した鶏が確認されたことを受けて設置された「近畿ブロック等高病原性鳥インフルエンザ対策協議会」。連合に加盟する兵庫や大阪など7府県に三重や奈良を加えた計10府県などで構成され、この日の会合で情報を交換。消毒薬や防護服の提供、家畜防疫員の派遣などでの相互協力を決めた。

 結局、参加府県に感染は広がらなかったが、12月4日から広域連合が正式始動したのを契機に、兵庫県に置かれた「広域防災局」が事務局を引き継ぎ、今後広域での鳥インフルエンザ対策にあたる。担当者は「このとき広域規模で対応ができたのは近畿だけ。この経験は今後、地震などの災害への備えにも応用できるはず」と期待を寄せる。


◇  ◇

 マグニチュード(M)8.6規模の2つの地震が連動して起こり、震度6強以上の揺れが東海〜四国を中心とした広範囲を襲い、太平洋岸には高さ5メートル以上の津波が押し寄せる。死者最大約1万8千人、全壊戸数最大36万棟−。

今後数十年以内に起こるといわれる東海、東南海、南海の3地震のうち、東南海・南海が連動した場合の、国(内閣府中央防災会議)の被害想定だ。時間は阪神大震災と同じ冬の早朝、午前5時。両地震は、宝永地震(1707年)と安政地震(1854年)でも連動、近接しており、決して「誇張」ではない。

 “2連動”の被害想定の発表は7年以上も前の平成15年9月。国は同時に人員派遣や応援物資調達、広域防災拠点の整備−なども発表し、「広域防災」の必要性を説いている。

 しかし近畿地方の複数の自治体の防災担当者からは「自分の自治体と、周辺自治体が同時に被災した、という想定への具体的な対処は進んでいない」との声が聞こえてくる。自治体ごとの地域防災計画と、自治体間で物資や人員などの援助を定めた相互応援協定を結ぶ−という現在の構造では「『広域防災』に対応する視点はない」(ある自治体の担当者)からだ。


◇  ◇

 関西広域連合は所管事務として明確に「広域防災」を掲げ、広域防災局が中心となり、23年度中に「関西広域防災計画」の策定・施行を目指す。

同連合がまとめた資料によると、現状は「横断的に協議・調整された計画がなく、関西としての広域災害時の対応は不明確」。同連合が物資・資機材の支援や職員派遣などを相互に行う際の“司令塔”となり、府県間調整を実施する。

 すでに、連合に参加する各府県の防災担当者は事務レベルの会合を重ねており、各府県が備蓄する食料や物資をどのように配送するべきか−など具体的な話し合いも始まった。

 同連合によると、たとえば近畿を中心とした10府県が各県ごとに最大数の避難者を想定して食料(1人1食)を備蓄すれば約310万人分、約10億円が必要だが、各府県分を半数に減らして連合が40万食を共同備蓄、融通しあえば、負担額が190万人分、約6.9億円に減る−との試算もある。共同化のメリットは小さくない。


◇  ◇

 府県境を超える「広域防災」の概念は早くからうたわれながら、具体像は見えていない。一方で東南海、南海などの巨大地震は数十年以内に起こるといわれる。関西広域連合は何ができるのか、また何をすべきかを探る。


関西広域連合って、海老蔵を殴った関東連合みたいで悪いネーミングですね。